6.オペアンプ(実用偏)

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本内容と図は「設計のための基礎電子回路」に掲載されています.

6-1.同相入力電圧範囲

■学習概要
ここでは初めにオペアンプの同相入力電圧範囲VICMを学び,その後VICMが非反転増幅回路に及ぼす影響について学ぶ。

■同相入力電圧範囲VICM
 VICMは,オペアンプの2つの入力端子に同じ電圧や同相の信号が加わった状態でオペアンプが正常に動作する入力電圧範囲であり,その値はデーターシートに記載されている。
●測定方法
図1は同相入力電圧範囲の測定回路であり、入出力をショートさせてバーチャルショートにより2つの入力端子に同電圧(同相電圧)が加わるようにしている。VICMは,図1の回路において入力電圧VINと出力電圧が等しい範囲である。
●実際の同相入力電圧範囲
図1のオペアンプのVICMは,電源電圧により決定される。一般的なオペアンプのVICMは,次の通りである。
-VCC+Va≦VICM≦VCC-Vb    (1)
ここでVa、Vbはオペアンプによって異なり、0~1.5V程度である。
●設計上の注意
 オペアンプを正常に動作させるには、2つの入力(非反転,反転)端子をどちらもVICMの範囲内で使用する必要がある。入力電圧がVICMを超えるとVOUTは、予測していない値が出力される。

■オペアンプの種類
 オペアンプには,両電源用と単電源用のオペアンプがある。2つのオペアンプの特徴を以下に述べる。
●両電源用オペアンプ
両電源用オペアンプは、図1のようにプラス電源(VCC)とマイナス電源(-VCC)を供給して動作させるオペアンプである。
 図2は,オペアンプを単電源で動作させた回路である。図3(a)は、同相入力電圧範囲が0.1V≦VICM≦9Vであるオペアンプに両電源用を用いた場合の入出力特性の一例である。VINが同相入力電圧範囲外になるとVOUTは誤動作してオペアンプの最大出力電圧(ここでは9V)が発生する。
●単電源用オペアンプ
VICMと出力電圧範囲が0Vまで動作保証されているオペアンプを単電源用オペアンプという。図3(b)は、図2の回路に単電源用オペアンプを用いた場合の入出力特性である。入力電圧が0Vまで正常に動作する。

■VICMを考慮した非反転増幅回路
●信号を直接入力
 図4は,単電源で動作させた非反転増幅器に信号vinを入力した回路である。オペアンプの同相入力電圧範囲は,0V <VICM<10V,出力電圧範囲はレールツーレールとする。
図5は,図4の回路の出力電圧voutの波形である。vinがプラスの時は,オペアンプは正常に動作するが,マイナスの時は,非反転入力端子に加わる電圧が同相入力電圧範囲外であるため,どのような電圧が出力されるか不明である。




●バイアスの追加
図6は,図4の入力にバイアス電圧E1(2.5V)を加えた回路である。
図7は,図6の回路の出力電圧VOUTの波形である。非反転入力端子に加わる電圧V1は,VICM 以内であるため,オペアンプは正常に動作する。非反転増幅回路を単電源で動作させるには,図6のようにバイアス電圧が必要となる。